夏の真ん中にいることを感じる朝。

午前のパート仕事を辞めてから、朝の散歩をするようになった。理由は、成功者や意識高い人たちが習慣にしていることをよく耳にするから。それに触発されて。

家の近くに二キロは続く長いお堀があって桜並木の川沿いの道を行く。

まだ低い位置にある太陽。向こうの道の上にはうっすらと朝靄がかかっている。さわやかな風が頬を撫でる。降り注ぐような蝉時雨。

ああ……夏だなぁ。

夏が大好き、ってことを思い出す。いつだって私は夏が好き。生命力を一番感じられる季節だから。青空も太陽も虫の声も鳥も生い茂る樹々も何もかも。生き生きとした息吹に満ちている。

夏を想うときだけ、悲しい過去や自らへの自信のなさなどに縛られなくてもいいんだなって素直に思えるから。

『夏』といえば、ふと、作家のアルベール・カミュが残した言葉を思い出す。

冬の真っ只中に私は気づきました。私の中に不屈の夏があることを。

寒く厳しい冬のような時期は誰にだってあると思う。けれど暗さに負けない強さが自分の中に必ずあって、苦境の時期こそ自分のそれに気づき、見つめなければいけない。

夏って人生の喜びそのものだなって、いや『強さ』だなって。そんなことも思ったりして。

時々同じように朝散歩をしている人とすれ違い「おはようございます」と挨拶をする。ただただまっすぐな道を歩く。

ここには水平線が見える広い海もない。気持ちのよい空気を吐き出す深い森もない。

けれども、パッと起きて靴を履き歩き出せるこの朝の散歩は、小さいけれど私の『森』であり『海』なのだ。

小川のせせらぎは波の音。

青い空は、あの広い海へと繋がっている。

子供の頃から生きづらい人生だったし孤独感とか後悔とかずいぶん長い間嫌な感情と付き合ってきた。でも辛いことも苦しいこともすべてこの穏やかな日々へと繋がっていたのだ。過去のすべてに意味があったのだ。今、私の人生は上々だ。

そう思えるから、深呼吸をしてこの「夏」を胸いっぱい吸い込もう。

散歩しながら書いてしまいました。

……今日もよい一日になりそうです。